太陽光の見積を取ると、
「せっかくなら蓄電池も一緒にどうですか」
と提案されることがあります。
昼に発電した電気をためて、夜に使える。
停電しても電気を使える。
たしかに便利です。
では、太陽光を付けるなら蓄電池もセットにした方が得なのか。
2026年の制度を前提にすると、答えは単純ではありません。
特にFITの最初の4年間は、住宅用太陽光の売電単価が24円/kWhです。
制度上の自家消費価値27.31円/kWhと比べると、
余った1kWhを売らずに蓄電池へ回す追加の経済価値は、理論上3.31円/kWh。
しかもこれは充放電ロスを入れる前です。
なので、
太陽光を付ける=最初から大容量蓄電池も付ける方が必ず得
とは言いにくいです。
蓄電池は、経済性と停電対策を分けて考えると分かりやすくなります。
この記事でわかること
- FIT前半では蓄電池の「追加節約額」が小さくなりやすい理由
- 太陽光だけが合いやすい人、蓄電池セットが合いやすい人
- 蓄電池容量を選ぶときに見るポイント
この記事の調べ方
資源エネルギー庁のFIT制度、2026年度制度前提、SIIのDR家庭用蓄電池補助事業、日本電機工業会(JEMA)の性能表示ラベル、太陽光発電協会(JPEA)の情報を確認しています。
経済性の計算は、実際の機器価格・充放電効率・電気料金プラン・補助金によって変わります。この記事では、まず「何が経済価値を生むのか」を分けて整理します。
確認日:2026年9月25日
蓄電池で増える価値は「買わなくて済む電気-売れなくなる電気」
昼に5kWh余ったとします。
蓄電池がなければ、その5kWhを売ります。
蓄電池へ入れて夜に使えば、その分だけ夜に買う電気を減らせます。
なので、経済価値の差はざっくり、
買電を避ける価値 − 売電を失う価値
です。
2026年度制度の想定値で見ると、
| 期間 | 買電回避の想定 | 売電単価 | 差額 |
|---|---|---|---|
| FIT 1~4年 | 27.31円 | 24円 | 3.31円/kWh |
| FIT 5~10年 | 27.31円 | 8.3円 | 19.01円/kWh |
| FIT終了後※ | 27.31円 | 10円 | 17.31円/kWh |
※10円は制度試算上の想定。実際の卒FIT売電単価は契約先によります。
最初の4年間は差がかなり小さいことが分かります。
1日5kWhを蓄電池へ回しても、最初の4年は理論上約6,000円/年
たとえば、毎日5kWhの余剰電力を蓄電池へ回せたとします。
充放電ロスを無視した理論上限で、
3.31円 × 5kWh × 365日 ≒ 年6,000円
です。
5~10年目なら約3.5万円/年。
FIT終了後に売電10円と仮定すれば約3.2万円/年です。
ここから充放電ロスや蓄電池の劣化を考える必要があります。
この計算を見ると、
FIT前半の電気代削減だけで、高額な蓄電池の投資回収を説明するのは難しいことがある。
と分かります。
もちろん、停電対策の価値はこの計算に入っていません。
太陽光だけが合いやすいのは、まず発電設備を安く入れたい人
太陽光だけを先に考えやすいのは、
- 初期費用を抑えたい
- まず太陽光の経済性を重視したい
- 昼間に電気を使う家庭
- FIT前半の売電も活用したい
- 蓄電池は後から必要性を判断したい
というケースです。
太陽光で発電した電気を昼間にそのまま使えるなら、蓄電池へ一度ためる必要がありません。
在宅時間が長い家庭や、昼間にエコキュート・EV充電などを動かせる家庭では、太陽光単独でも自家消費を増やせます。
蓄電池セットが合いやすいのは、「停電」と「夜の利用」に価値を感じる人
一方、蓄電池には太陽光だけでは持てない役割があります。
停電中に電気を使うことです。
ここは経済性とは別に考えます。
たとえば停電したとき、
- 冷蔵庫
- 照明
- スマートフォン
- Wi-Fi
- テレビ
- エアコン
のどこまで使いたいか。
必要な容量・出力は大きく変わります。
「停電しても冷蔵庫と照明だけ使えればいい」
のと、
「普段に近い生活を続けたい」
では、選ぶ蓄電池は同じではありません。
太陽光だけ/蓄電池セットのしるべ
初期費用と回収重視 → まず太陽光単独を比較
昼間の電気使用が多い → 太陽光の直接自家消費を優先
停電対策を重視 → 蓄電池の容量・出力を確認
FIT後半・卒FIT → 余剰電力の自家消費価値が上がりやすい
補助金を使いたい → 「今使える制度」だけで再計算
蓄電池は「何kWh?」だけでは決められない
蓄電池では容量が目立ちます。
6.5kWh。 9.8kWh。 12.7kWh。
でも、容量だけでは使い勝手は分かりません。
日本電機工業会(JEMA)は、家庭用蓄電システムについて主な性能11項目をまとめた「性能表示ラベル」を設けています。
見るポイントは、
- どれくらい電気をためられるか
- 実際に使える電力量
- 出力
- 安全性
- 使用条件
などです。
同じ「10kWh前後」でも、停電時に使える機器や出力条件が違うことがあります。
容量は「余る電気」「夜に使う電気」「停電で使う電気」で考える
容量を考えるときは、世帯人数だけで決めない方がよさそうです。
見るのは、
1. 昼にどれくらい余るか
太陽光が6,000kWh/年発電しても、昼間に4,000kWh使う家庭なら余剰は少なくなります。
蓄電池が大きくても、充電する電気がなければ活かせません。
2. 夜にどれくらい使うか
昼にためても、夜に使わなければ翌日まで残ります。
毎日の充放電量を見ることが大切です。
3. 停電時に何を使いたいか
防災目的なら、日常の経済性だけで容量を決めません。
冷蔵庫・照明だけなのか。
エアコンやIHまで使いたいのか。
ここで必要な出力も変わります。
2026年の国のDR蓄電池補助は、すでに終了
令和7年度補正のDR家庭用蓄電池事業は、2026年5月29日に申請額が予算に達し、公募を終了しました。
公式サイトでは、公募再開の予定もないと案内しています。
なので、今見積を取るなら、
「国の補助金が使える前提」のシミュレーションを、そのまま使わない。
ことが大切です。
自治体独自の制度が残っている場合はあります。
補助金は地域・時期ごとに確認します。
蓄電池の現在価格は、見積で確認する
家庭用蓄電池は、容量だけでなく、
- ハイブリッド型か
- パワコンを共用するか
- 全負荷か特定負荷か
- 工事内容
- 既存太陽光との接続
- 保証
などで金額が大きく変わります。
そのため、この記事では古い平均価格を「現在の相場」として置きません。
見積では、
蓄電池本体+パワコン+工事+追加部材+保証
まで含めた金額を確認します。
蓄電池は「元を取る装置」だけではない
蓄電池を経済性だけで見るなら、
最初の4年は売電単価24円があるため、自家消費へ回す追加価値は小さくなりやすい。
これは2026年の特徴です。
一方で、
停電時に電気を使える。 FIT後半・卒FITで余剰を自宅に回せる。 夜の買電を減らせる。
という別の価値があります。
だから、
経済性。 停電対策。 容量。 補助金。
を別々に見て、最後にセット導入するか決める。
「太陽光を付けるなら蓄電池も当然セット」と考えない方が、見積は冷静に比べやすくなります。
