「太陽光って、結局何年で元が取れるの?」
導入を考えると、かなり気になるところです。
5年。 10年。 15年。
検索するといろいろな数字が出てきます。
でも、2026年の住宅用太陽光は、売電単価が10年間ずっと同じではありません。
10kW未満では、初期投資支援スキームにより、1~4年目は24円/kWh、5~10年目は8.3円/kWhです。
さらに、
- いくらで設置したか
- どれくらい発電するか
- 発電した電気を家で何割使うか
- 買っている電気の単価
- パワコン交換や劣化をどう見るか
で答えが変わります。
なので、最初に結論をいうと、
「太陽光は○年で元が取れる」と一つの数字で考えるより、前提を揃えて計算した方が分かりやすいです。
みなしるべで5kWを簡単に試算すると、設備交換などを入れない単純モデルでは約15~17年になりました。
ただし、これは「全国の家が15~17年で回収できる」という意味ではありません。
この記事でわかること
- 2026年の住宅用太陽光を回収計算するときの前提
- 5kWの簡易試算で約15~17年になる理由
- 回収年数が大きく動く条件
この記事の調べ方
資源エネルギー庁のFIT制度、調達価格等算定委員会の制度前提、太陽光発電協会(JPEA)の設置費用・耐用年数、NEDOの日射量データベースを確認しています。
試算は制度上の想定値を使った説明用モデルです。ローン金利、自治体補助、税、パワコン交換費、撤去費などは個別条件の差が大きいため、基本試算からは外しています。
確認日:2026年9月25日
まず、2026年の売電単価は途中で変わる
住宅用10kW未満では、2026年度も初期投資支援スキームが適用されます。
| 期間 | FIT売電単価 |
|---|---|
| 1~4年目 | 24円/kWh |
| 5~10年目 | 8.3円/kWh |
| FIT終了後 | 契約先による |
以前のように「10年間ずっと同じ売電単価」と考えて計算すると、結果がずれます。
最初の4年間は売電の価値が高く、その後は自家消費の価値が相対的に大きくなります。
設置費だけでも、回収年数は動く
JPEAによると、2025年の10kW未満・新築設置のシステム費用は、平均28.9万円/kW、中央値29.4万円/kWでした。
5kWなら、単純計算で平均約144.5万円です。
一方、2026年度の制度価格を検討するときに置かれた効率的な費用想定は25.5万円/kW。
5kWなら127.5万円です。
約17万円の差があります。
同じ発電量でも、最初に払う金額が違えば回収年数は変わります。
しかも実際には、
- 既築か新築か
- 屋根材
- 足場
- 屋根形状
- 配線距離
- 追加工事
でも費用が変わります。
5kWなら、年間発電量はどれくらいで置く?
制度上の想定では、住宅用太陽光の設備利用率は13.7%です。
これを5kWへ単純に当てはめると、
5kW × 8,760時間 × 13.7% ≒ 6,001kWh/年
です。
ただし、これは全国一律の保証値ではありません。
実際の発電量は、
- 地域の日射量
- 屋根の方位
- 傾斜
- 周囲の影
- 気温
- パネルや機器の特性
で変わります。
NEDOは、MONSOLA-20やMETPV-20という日射量データベースを公開しています。
見積の発電量が妥当かを見るときは、「年間○kWh」という結果だけでなく、どの日射条件で計算したかも確認したいところです。
売る電気と、自宅で使う電気は価値が違う
制度上の想定では、住宅用太陽光について、
- 自家消費30%
- 余剰売電70%
- 自家消費の便益27.31円/kWh
が置かれています。
自家消費した1kWhは、電力会社から1kWh買わずに済んだ、と考えます。
一方、余った電気はFITで売ります。
つまり、
売電単価より買電単価の方が高い時期は、発電した電気を自宅で使える家庭ほど経済価値が大きくなりやすい。
ということです。
回収年数を見るときのしるべ
設置費が安い → 回収は早まりやすい
発電量が多い → 回収は早まりやすい
昼間に電気を使う → 自家消費価値が増えやすい
屋根条件が悪い → 発電量を楽観しない
補助金がある → 補助後の自己負担で再計算
みなしるべ簡易試算|5kWなら約15~17年
説明用に、次の条件を置きます。
| 前提 | 値 |
|---|---|
| 太陽光容量 | 5kW |
| 設備利用率 | 13.7% |
| 年間発電量 | 約6,001kWh |
| 自家消費率 | 30% |
| 自家消費価値 | 27.31円/kWh |
| FIT 1~4年 | 24円/kWh |
| FIT 5~10年 | 8.3円/kWh |
| FIT終了後の売電 | 10円/kWh(制度試算上の想定) |
| 維持費 | 3,000円/kW・年 |
| 補助金 | なし |
| ローン金利 | なし |
この条件だと、
25.5万円/kWで設置 → 約15年 28.9万円/kWで設置 → 約17年
で累積便益が初期費用を超える計算になります。
これはかなり単純なモデルです。
「15年なら必ず元が取れる」という意味ではありません。
自家消費率だけでも、数年動く
同じ28.9万円/kW、5kWでも、自家消費率を変えると単純回収はこう動きます。
| 自家消費率 | 単純回収の目安 |
|---|---|
| 30% | 約17年 |
| 50% | 約14年 |
| 70% | 約12年 |
電気をたくさん使えばよい、という話ではありません。
もともと昼間に電気を使う家庭なら、発電した電気を高い買電の代わりに使いやすい、という意味です。
たとえば、
- 在宅時間が長い
- 昼間にエコキュートなどを動かす
- EVを昼間に充電できる
といった家庭では、自家消費率が変わる可能性があります。
パネルは少しずつ劣化する
JPEAは、太陽光パネルの発電効率について、年間0.5%前後の劣化が蓄積する場合があると説明しています。
この0.5%を毎年入れて同じモデルを計算すると、28.9万円/kW・自家消費30%のケースは、17年から18年程度へずれます。
大きな差ではありませんが、
毎年まったく同じだけ発電する
という計算より現実に近づきます。
パワコンは、パネルより先に交換時期が来る可能性がある
JPEAは、太陽電池モジュールの耐用年数を20年以上、パワーコンディショナを10~15年程度と案内しています。
つまり、15年、20年で回収を考えるなら、途中でパワコンの部品交換や本体交換が入る可能性があります。
交換費用は機種・容量・工事条件で差が大きいため、この簡易試算には入れていません。
だから、
「17年で回収」という数字より、「17年の間に何を交換する可能性があるか」を確認する。
ここが大切です。
「何年?」より、見積の前提を横に並べる
販売会社Aは「9年で回収」。
販売会社Bは「13年」。
こんなシミュレーションが出てきたら、回収年数だけ比べない方がよさそうです。
見るのは、
| 比較する前提 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 初期費用 | ||
| 太陽光容量 | ||
| 年間発電量 | ||
| 自家消費率 | ||
| 買電単価 | ||
| 売電単価 | ||
| 劣化率 | ||
| 維持費 | ||
| 機器交換 |
です。
回収年数の違いは、たいてい前提の違いから生まれます。
太陽光は「何年で元が取れるか」だけで決めなくていい
太陽光発電は、投資として見れば回収年数が大事です。
でも住宅設備でもあります。
電気料金の変動。
停電時の自立運転。
将来のEVや蓄電池との組み合わせ。
こうした価値もあります。
だから、
回収年数は判断材料の一つ。 その数字の前提を確認することの方が、もっと大事。
まず自宅の見積で、
設置費。 年間発電量。 自家消費率。
この3つを揃えるところから始めるのがよさそうです。
