住宅会社の広告や見積で、
「建物は3,000万円くらいです」
と言われたとします。
土地が2,000万円なら、全部で5,000万円くらい。
……と考えたくなりますが、家づくりの総額はそれだけでは決まりません。
外構、地盤、登記、住宅ローン、保険、引っ越し。 土地から買うなら、土地側にも諸費用があります。
では、注文住宅は結局いくらかかるのか。
結論からいうと、平均額を探す前に「何を含めて総額と呼ぶのか」を決める方が分かりやすいです。
この記事では、家づくりのお金を5つの箱に分けて整理します。
この記事でわかること
- 最新の公的調査で注文住宅にどれくらい資金が使われているか
- 「本体価格」「建設費」「総額」が同じではない理由
- 見積から漏れやすい費用を5つに分ける方法
この記事の調べ方
国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」、住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」、国税庁の住宅取得・登録免許税に関する情報を確認しています。
なお、この記事の「5つの箱」は公的な費目分類ではなく、見落としを減らすためにみなしるべ編集部で整理したものです。住宅会社や金融機関によって費用の名称・含まれ方は変わります。
確認日:2026年9月25日
最新調査では、土地購入ありの注文住宅は平均7,646万円
国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、土地を購入した注文住宅新築世帯の「住宅建築資金+土地購入資金」は、全国平均7,646万円でした。
中央値は5,100万円です。
平均と中央値だけでも2,500万円以上の差があります。
なので、
「注文住宅の平均は7,646万円。だから自分もそのくらい」
とは考えにくい数字です。
高額な住宅が平均を押し上げることもありますし、土地価格は地域で大きく違います。
ここで見るべきなのは、「平均はいくらか」より、
自分の家づくりでは何にいくら払うのか
です。
「平均額」がサイトによって違うのは、集計しているものが違うから
注文住宅の金額を調べると、サイトごとに違う数字が出てきます。
これには理由があります。
対象となる人も違えば、費用の定義も違うからです。
たとえば住宅金融支援機構のフラット35利用者調査では、「建設費」に主体工事だけでなく、電気・給排水・ガス設備、設計、工事監理、除却工事、屋外附帯工事なども含めています。
一方、住宅会社の資料で見る「本体価格」は、同じ範囲を指しているとは限りません。
つまり、
本体価格2,800万円 と 公的統計の建設費2,800万円
は、同じ意味とは限らない。
ここを揃えずに数字だけ比べると、かなり分かりにくくなります。
総額は「5つの箱」に分けると見やすい
みなしるべでは、注文住宅の総額をまず次の5つに分けて考えます。
| 箱 | 主な内容 | 見落としやすい例 |
|---|---|---|
| 1. 土地 | 土地代と土地取得に伴う費用 | 仲介、登記、造成条件など |
| 2. 建物 | 建物本体、設計、設備など | 標準外設備、設計変更 |
| 3. 敷地・付帯工事 | 家を建てられる状態にする工事 | 地盤改良、解体、外構、引込工事 |
| 4. 手続・金融・保険 | 税、登記、ローン、保険 | 登録免許税、融資手数料、火災・地震保険 |
| 5. 入居準備・予備費 | 入居前後に必要になるお金 | 引っ越し、家具家電、仮住まい、予備費 |
実際の見積では、たとえば外構が「建物工事」に入る会社もあれば、別見積になる会社もあります。
なので、この5分類どおりに請求されるわけではありません。
目的は、
見積の項目名を揃えることではなく、総予算から消えている箱がないかを見ること。
です。
選ぶときのしるべ
土地を持っている → 土地代は不要でも、造成・解体・地盤は確認
土地から買う → 土地と建物を別々の予算にしすぎない
建物価格が出た → 「その金額に何が入っているか」を確認
総予算ぎりぎり → 家具家電・引っ越し・予備費を先に残す
「本体価格」は、総額の一部として見る
本体価格が分かりやすいのは、家そのものの価格に見えるからです。
でも、そこで予算を使い切ると困ります。
たとえば、
「建物に3,000万円使える」
と思っていたのに、
- 地盤改良が必要だった
- 駐車場やフェンスが別だった
- 水道の引込工事が必要だった
- 照明やカーテンが想定より多かった
となれば、あとから設備や間取りを削ることになります。
なので、最初に置きたいのは、
建物の上限ではなく、家づくり全体の上限。
その中から土地、建物、付帯工事、諸費用へ振り分ける方が扱いやすそうです。
諸費用は「とりあえず○%」だけで終わらせない
諸費用は細かいので、
「建物価格の○%くらい」
とまとめたくなります。
予算の仮置きには便利ですが、最終確認には向きません。
たとえば登記だけでも、何を登記するかで税率が違います。
2026年9月時点では、一定要件を満たす住宅用家屋について、所有権保存登記は0.15%、住宅ローンの抵当権設定登記は0.1%の軽減税率があります。いずれも適用期限や床面積などの要件があります。
そのほか、不動産取得税、司法書士費用、住宅ローンの手数料、火災・地震保険などは条件によって変わります。
ここは、
「諸費用」という一行ではなく、何が入っているかを確認する
くらいがちょうどよさそうです。
細かな税・登記・ローン費用は、別記事でまとめます。
「予定より高くなった」は、珍しい不満ではない
国土交通省の令和7年度調査では、注文住宅で「満足していないこと」として最も多かったのが、
価格(予定より高くなった)
でした。
もちろん、これだけで「見積漏れが原因」とは言えません。
設備を良くした。 面積を増やした。 土地条件で追加工事が出た。
理由はいろいろ考えられます。
それでも、予算を考える段階で「建物価格」だけを見ない方がいいことは分かります。
見積は「金額」より先に、含まれるものを揃える
住宅会社を2社、3社と比べるとき、
A社 3,200万円 B社 3,450万円
だけを見ると、A社が安く見えます。
でもA社には外構が入っていない。 B社には照明・カーテンまで入っている。
ということもあります。
なので、見積では次のように確認します。
| 確認する項目 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 地盤調査・改良 | 含む? | 含む? | 含む? |
| 解体・造成 | |||
| 給排水等の引込 | |||
| 外構・駐車場 | |||
| 設計・申請 | |||
| 照明・カーテン | |||
| 登記・ローン・保険 | |||
| 入居までの追加費用 |
金額が空欄でも構いません。
最初は、
含む/含まない/まだ分からない
だけでも、かなり比較しやすくなります。
平均を決めるより、「自分の上限」を先に決める
注文住宅の総額を調べると、どうしても平均額が気になります。
でも、平均7,646万円と中央値5,100万円に大きな差があるように、家づくりの金額はかなり幅があります。
なので最初に決めたいのは、
平均的な家はいくらか
ではなく、
自分たちは、入居まで全部含めていくらまでなら無理がないか。
です。
その上限を5つの箱へ分ける。
見積が出てきたら、「入っている/入っていない」を揃える。
この順番なら、本体価格の数字だけに引っ張られにくくなります。

